「輸送にかかるCO2排出量も教えてください」――取引先からのアンケートで、こうした設問を目にすることが増えてきました。輸送を運送会社に任せていて燃料の使用量が分からない場合でも、算定に使えるのが「トンキロ法」です。今回は計算式と、押さえておきたい注意点をご紹介します。
・トンキロ法の計算式
トンキロ法では、まず「どれだけの重さの荷物を、どれだけの距離運んだか」を数値にします。
輸送トンキロ(t・km)= 輸送重量(t)× 輸送距離(km)
この輸送トンキロに、輸送手段ごとの排出原単位を掛けるとCO2排出量が求められます。
CO2排出量 = 輸送トンキロ × 排出原単位(1トンキロあたりのCO2量)
気をつけたいのが集計の仕方です。トンキロは1回の輸送ごとに計算し、最後に足し合わせます。
(例)5tを200km、2tを50km輸送した場合
正:5×200+2×50=1,100トンキロ
誤:(5+2)×(200+50)=1,750トンキロ
重量と距離をそれぞれ合計してから掛けると、実際より大きな値になってしまいます。
・算定方法は3種類
物流のCO2算定には、トンキロ法のほかに2つの方法があります。
・燃料法:実際に使った燃料の量から計算する
・燃費法:車両の燃費と走行距離から燃料の量を推計する
・トンキロ法:輸送トンキロと原単位から推計する
上にあるものほど精度が高く、下にいくほど必要なデータを集めやすくなります。運送会社から燃料のデータを得にくい荷主企業では、トンキロ法が最も多く使われています。
・トラックは「改良トンキロ法」で
トラック輸送では、車両の大きさ(最大積載量)と荷物の積み具合(積載率)によって原単位が変わる「改良トンキロ法」を使い、2段階で計算します。
燃料使用量(L)= 輸送トンキロ × 燃料使用原単位(L/t・km)
CO2排出量 = 燃料使用量 × 燃料のCO2排出係数
燃料使用原単位とは、「1トンの荷物を1km運ぶのに、何リットルの燃料を使うか」を表す数字(単位:L/t・km)です。経済産業省と国土交通省がまとめているガイドラインの参考表にて確認することができます。
「ロジスティクス分野におけるCO2 排出量算定方法共同ガイドラインVer. 3.2」P.59
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/ninushi/pdf/guidelinev3.2.pdf
燃料使用原単位は、車両が大きいほど、また積載率が高いほど小さくなる仕組みです。直近の改訂では、燃費基準を満たした車両かどうかでも値が分かれるようになりました。積載率が分からない場合は平均的な値を使うこともできますが、その場合は積み合わせによる輸送効率の向上といった改善努力が数字に表れにくくなります。
なお、鉄道・船舶・航空機は、輸送トンキロに輸送手段ごとの原単位を掛けるだけの従来の「トンキロ法」で算定します。
【算定のポイント】
・トンキロは1回の輸送ごとに計算して合計する
・積載率は実績に近い値を使う
・トラック、鉄道、船舶など輸送手段ごとに分けて集計する
・まとめ
製造業でも物流量の多い企業(年間3,000万トンキロ以上)は、国への定期報告が義務となっています。それ以外の企業でも、取引先への回答やScope3(輸送・配送)の算定でトンキロ法を使う機会は、今後さらに増えていくでしょう。
トンキロ法は、重量と距離のデータさえ手元にあればすぐに計算できます。出荷伝票などから毎月記録を残しておくことが、慌てずに回答するための近道です。
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