「脱炭素経営」や「GX(グリーントランスフォーメーション)」という言葉が定着するなか、ニュースやビジネス誌で「CCS」や「CCUS」というキーワードを目にする機会が増えました。中小企業には関係ないと感じる方も多いかもしれませんが、サプライチェーン全体に対する脱炭素の波は確実に中小企業へも波及しています。
この記事では、CCSとCCUSの基本的な意味や違い、注目される背景、そして中小企業がどのように捉えて自社の脱炭素の取り組みに生かすべきかを分かりやすく解説します。
どちらも排ガスからCO2を分離・回収して大気中への放出を防ぐ技術ですが、主な目的や回収の扱いに違いがあります。CCSは埋立処分、CCUSはCO2をリサイクルして残った余りを埋立処分するというイメージです。
CCSとCCUSの比較表

政府や産業界がCCS/CCUSに注力する最大の理由は、「再エネ導入や省エネの努力だけでは、ゼロにできないCO2が存在するから」です。
鉄鋼、化学、セメントなどの素材産業や一部の製造プロセスでは、製造工程の化学反応そのものからCO2が発生するため排出量を完全にゼロにすることは困難です。こうした状態を解消する手段として、CCS/CCUSが不可欠とされています。
経済産業省は「2030年までのCCS事業開始」を掲げ、2024年には「CCS事業法」が成立するなど、国を挙げて事業化に向けた法的基盤やインフラの整備が進んでいます。
「莫大な設備投資が必要なCCS/CCUSを、自社で導入するのは現実的ではない」と思われるのが一般的です。しかし、ビジネス環境という視点では決して無関係ではありません。
技術の進歩によってCCUS由来のリサイクル素材や低炭素な建材・原材料が流通し始めた際、それらを自社製品に採用することが環境面での差別化につながる可能性があります。
中小企業はCCS/CCUSを将来の脱炭素の流れとして捉え、脱炭素経営に向けた取り組みを実施することが重要です。
・自社のCO2排出量を「可視化」する
自社の事業活動でどれだけのCO2が出ているかを把握していなければ、具体的な対策を立てることはできません。まずはCO2排出量可視化ツール等を用いて自社の排出量を把握し、効率的な削減計画を立てましょう。
・既存設備の「省エネ」を徹底する
新しい大型技術を待つのではなく、現在使用している工場やオフィスの照明、空調、生産設備の運用を見直し、エネルギー使用量そのものを減らすことが最も確実でコスト削減にもつながる対策です。
CCSやCCUSは、日本が2050年カーボンニュートラルを目指す上で欠かせない重要技術です。中小企業としては「社会全体のCO2削減がどのように進むか」を把握するためのトレンド知識として押さえつつ、今からできる取り組みとしてCO2排出量の可視化や省エネを行って脱炭素経営に向けた準備を始めていきましょう。
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