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コラム

2026.05.22

2026年4月より改正GX推進法施行!中小企業への影響は?

近年、脱炭素社会の実現に向けた取り組みが世界的に加速しています。日本でも温室効果ガス排出削減の動きが強まってきたことで、2023年にGX推進法が成立しました。そして2026年4月、さらなる環境対策の強化に向けてGX推進法の大幅な改正が行われることとなりました。本コラムでは、この改正GX推進法の内容と中小企業への影響について分かりやすく解説します。

 

 

GX推進法の改正

2026年4月に施行された改正GX推進法は2023年に成立したGX推進法を改正したものです。GX推進法とは「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律」のことで、2050年のカーボンニュートラル達成に向けて脱炭素と経済成長を両立させることを目的として策定されました。
今回の改正における大きなポイントは排出量取引制度(GX-ETS)の第2フェーズへの移行にあります。今までは第1フェーズとして制度設計や試行的な取り組みが中心に行われており、賛同した企業が自主的に参加する仕組みでしたが、第2フェーズではより実践的な制度運用が進められるようになります。CO2の直接排出量(Scope1)が前年度までの3年度平均で10万トン以上の事業者に対しては参加が義務付けられており、サプライチェーン内の中小企業に対してCO2排出量の削減を求める動きが強まる可能性が高いです。
排出量取引制度について、詳しくは以下のコラムをご覧ください。
https://www.co2-hikaku.com/column/2009/


出典:経済産業省 https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/gx_league/pdf/001_04_00.pdf

また、2028年度からは化石燃料賦課金の導入が始まります。化石燃料賦課金とは、石油や石炭といった化石燃料の輸入事業者から賦課金を徴収する制度で、排出量取引制度と同じくカーボンプライシング政策のうちの一つです。今回の改正で化石燃料賦課金制度の詳細な措置が具体化され、法的強制力を持つ施策であることが定義されました。2024年に設立されたGX推進機構が管理を行い、非エネルギーとしての用途の場合は還付や免除が行われる予定です。

 

成長志向型カーボンプライシング

こうしたCO2排出に伴うコストの負担は「成長志向型カーボンプライシング」の施策として、本格的に運用が始まろうとしています。成長志向型カーボンプライシングとは、GX経済移行債を発行して投資促進を行い、後にCO2排出に応じて徴収した費用をGX移行債の償還財源とする政策です。炭素価格を徐々に引き上げていく形を取ることで、企業に早めの脱炭素投資を促します。今回の改正GX推進法の施行により、先行投資が行われる段階から財源回収の段階への移行が始まったことになります。


出典:経済産業省 https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/conference/energy/20231225/231225energy04.pdf

また、CO2排出量に応じた支払いを義務化することで、環境への取り組みが経営に直接的な影響を与えることになります。そのため、対象となる企業は形式的な取り組みではなく、本格的にCO2排出量削減に力を入れていくと考えられます。
このような動きは、その取引先である中小企業にも影響を与えることが予想されます。特に、サプライチェーン全体の排出量(スコープ3)を把握・削減する流れが強まることで、取引先企業にも脱炭素対応が求められるケースが増えていく可能性が高いです。

 

中小企業への影響

今回の改正GX推進法の施行により脱炭素に向けた施策が強化されたことによって、中小企業にも影響が広がる可能性があります。主に次のような点が考えられます。

⓵排出量に関する情報開示の要請

大企業がサプライチェーン全体での排出量削減を進める中で、取引先に対してエネルギー使用量やCO2排出量の把握・報告を求める動きが強まる可能性があります。まずは自社における電気・ガスなどのエネルギー使用量を把握し、排出量を簡易的に算定することが重要です。

②省エネへの取組み

化石燃料賦課金による負担が化石燃料価格や電気料金に価格転嫁されることで、製造コストが増加する可能性があります。古くなった設備をエネルギー効率の良い設備へ更新する計画を早めに立てておくことが有効です。

補助金・支援制度の活用

政府や自治体は中小企業の脱炭素化を支援するため、補助金や支援制度を拡充していくと考えられます。省エネ設備や再生可能エネルギー導入に関する補助金などを活用することで、コスト負担を抑えながら脱炭素への取組みを進めることが可能です。

 

まとめ

GX推進法の改正に伴って排出量取引制度が第2フェーズへ移行することで制度の実効性が高まり、企業の排出削減への取り組みは今後さらに進んでいくと考えられます。そうした中で、中小企業に対するCO2排出量削減要請が強化される等、脱炭素対応の必要性が高まる可能性があります。今後は、エネルギー使用状況の把握や省エネなど、できるところから取り組みを進めていくことが企業経営のポイントになるでしょう。

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