地球温暖化問題は世界中で喫緊の課題となっており、各国で様々な政策の下脱炭素化が進められています。現在、日本では2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするという目標を掲げて、地域レベルでのカーボンニュートラル(脱炭素社会)の実現に挑んでいます。今回は、この地域脱炭素の取り組みと中小企業へ与える影響について解説していきます。
地域脱炭素とは、地域ごとに温室効果ガスの排出を大幅に削減し、最終的にカーボンニュートラルを実現することを目指す取り組みです。再生可能エネルギーの導入や省エネルギー化、地域資源の活用などを通じて環境負荷の低減を図り、地域課題の解決や新たな産業・雇用の創出など、地方創生にも貢献する地域の成長戦略として位置づけられています。
日本は2050年までに温室効果ガス排出を全体としてゼロにすることを宣言しており、その達成には自治体単位での取り組みが必要になることから、地域主導で脱炭素化を進めるための「地域脱炭素ロードマップ」が作成されました。
「地域脱炭素ロードマップ」とは、地域が主体となって脱炭素化を進めるための道筋を示した国の計画で、家庭や業務などの電力使用に伴うCO2排出の実質ゼロ化を目指すモデル地域である「脱炭素先行地域」を2030年度までに少なくとも100か所選定することを方針に掲げていました。2022年に募集を開始した脱炭素先行地域ですが、2025年度中に目標である100か所に到達する見込みであることから、環境省は2026年度以降の新規採択を停止するとしています。脱炭素先行地域に選定された自治体では、再エネや電動車導入などの重点対策を推進し、国・自治体・地域企業が連携して支援策や制度改革を進めながら、地域課題の解決と2050年カーボンニュートラル実現を目指します。

(参考)環境省 脱炭素地域づくり支援サイト
https://policies.env.go.jp/policy/roadmap/
(参考)環境省 地域脱炭素ロードマップ
https://x.gd/qzqbf
全国の脱炭素先行地域では、地域の産業構造や資源特性に応じて多様な取り組みが進められています。ここでは、実際に行われている具体的な取り組みとして、2つの事例を紹介します。
池田町では冬季の積雪が地域課題となっているため、住宅向けに融雪機能付き太陽光発電を展開し、氷雪対策とCO2排出削減の両立を行っています。また、遊休農地では営農型太陽光発電でそばやよもぎなどの特産品を育てることで、特別豪雪地帯という不利な条件下においても産業の活性化を図っています。
今治市では、しまなみ海道ブルーラインと今治タオルという地域資源を活用した取り組みを行っています。しまなみ海道ブルーライン沿線エリアでは再エネ・蓄電池・ヒートポンプ給湯器・省エネ設備・EMSのパッケージ導入を支援し、今治タオル産業群では廃水を活用したバイオガス発電や太陽光発電を導入します。こうした取り組みによって地域資源のブランド価値向上と産業界の脱炭素化を推進しています。
(参考)環境省 脱炭素先行地域選定結果(第6回)の概要
https://www.env.go.jp/content/000313597.pdf
地域脱炭素の取り組みは環境保護のみならず、中小企業の経営課題を解決し持続的な成長を導く大きなチャンスです。地域全体での脱炭素化がもたらす3つの主要なメリットを解説します。
地域脱炭素化推進に向けて各自治体では補助金の交付といった支援策を行っています。省エネ設備や再生可能エネルギー導入に対する補助金や低利融資を受けられるため、太陽光発電や蓄電池、省エネ機器の導入コストを抑えつつ、電気代や燃料費の削減効果も高めることができます。
地域全体での脱炭素化が進むことで、その地域の中小企業が脱炭素化に取り組みやすくなります。環境配慮を行っている企業が取引先として選ばれる時代が到来しているため、脱炭素に向けた活動を行っている中小企業は企業競争力が高まります。このように、地域脱炭素は中小企業の受注や取引先拡大のきっかけとなり得ます。
地域脱炭素が進むと、環境配慮を行っている産地として、その地域のブランド価値が高まり、地域活性化につながります。脱炭素に積極的に取り組んでいる地域で生産したという環境付加価値を製品に上乗せできる可能性があります。
地域脱炭素は、地域ごとにCO2排出削減を進め、カーボンニュートラルを目指す取り組みです。こうした取り組みの実現に向けたモデルケースとして脱炭素先行地域が選定されるなど、地域課題の解決と脱炭素化が推進されています。地域脱炭素はCO2排出量を減らすだけでなく、コスト削減や企業の社会的評価の向上をもたらす強力な経営戦略ともなり得ます。皆さんの地域で行われている脱炭素活動や支援策についてもぜひ注目してみてください。
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