2025年5月15日~5月17日にかけて、MEX金沢という工作機械の展示会で㈱金太様のブースへ出展させていただきました。日本の製造業を支える工作機械が多数展示されており、非常に刺激的な展示会でした。そのなかでも、弊社としては、中小製造業が抱える脱炭素のお悩み解決に向け、来場者の方とお話をしたり、最新の補助金情報を提供したりするなど、多数のお客様と関わることができました。今後もこのような展示会へ出展しますので、お見かけした際には是非、「脱炭素コラムを読みました」とお声掛けください。
さて、2024年11月に改訂されたSBT認証ですが、弊社が支援する企業様も着実に認証を取得されています。その一方で、認証取得に至る過程では、申請内容に関してSBT事務局から修正依頼が寄せられるケースも発生しました。今回は、実際に弊社が経験した修正依頼の事例をご紹介します。2024年11月に改訂された内容については、以下の記事も併せてご参照ください。
・2024年11月にSBT認定制度が改定!中小製造業への影響と対策
https://www.co2-hikaku.com/column/1792/
・改定後のSBT認証取得手続きについて詳しく解説!
https://www.co2-hikaku.com/column/1854/
SBTとは、企業が設定する温室効果ガスの削減目標が、パリ協定で定められた「世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して1.5℃に抑える」という水準と整合していることを示す国際的な基準です。
SBT認証を取得するためには、SBT事務局が定める認定基準に適合した削減目標を設定し、その妥当性について審査を受ける必要があります。この認証を取得することで、投資家や顧客からの信頼獲得、そして長期的な企業価値向上につながります。
SBT HP:https://sciencebasedtargets.org/
SBT認証の取得を目指す企業は年々増加傾向にありますが、申請プロセスにおける審査基準は改訂のたびに厳格化しており、規定内容の正確な理解が不可欠です。ここでは、2024年11月のリニューアル以降の申請で実際にSBT事務局から届いた修正依頼の事例をいくつかご紹介します。
スコープ1の業務活動に関する記述で、車両でのガソリン使用を報告した際、「移動燃焼」と「定常燃焼」それぞれの活動内容を明記するよう修正依頼がありました。
スコープ1は、企業が直接排出する温室効果ガスを指し、具体的には社用車や出張時の燃料使用(移動燃焼)、工場や事業所での燃料使用(定常燃焼)に分けられます。排出量自体は回答項目が分かれていますが、活動内容については一つの設問で双方を記述する必要があり、初見でこの点を網羅するのは難しいと感じました。
同様にスコープ1の記述で、ガソリン使用活動として「a one-day business trip」と記載したケースがありました。これは「日帰り出張」の意図でしたが、SBT事務局には「特定の一日のみの出張」と解釈され、年間を通じた排出量を算定するよう修正依頼がありました。
英語で表現し慣れない内容を伝える必要があるため、このように意図しない解釈が生じ、申請に手間取ってしまう可能性があります。SBT事務局とのコミュニケーションは全て英語で行われるため、正確な英語表現が求められ、意図を的確に伝えるための翻訳作業にも相応の時間を要してしまいます。
スコープ2のCO2排出量をロケーション基準で算定し、その削減策として再生可能エネルギーの活用を記述したところ、内容の修正を求められました。
スコープ2は、購入した電力、熱、蒸気の使用に伴う間接排出を対象とします。算定方法には、地域や国ごとの平均排出係数を用いる「ロケーションベース」と、企業が契約した電力会社に基づいた排出係数を用いる「マーケットベース」があります。
そのため、ロケーション基準で算定する場合、企業が再生可能エネルギー電力や低炭素電力プランを選択・調達しても、その効果は排出量算定に反映されません。
SBT事務局は国際的な認証機関であり、コミュニケーションは全て英語で行われます。20ページにもおよぶ英文のガイダンスを読み解きながら申請作業を進めるには多大な時間と労力を要するため、必要に応じて専門家のサポートを活用することをお勧めします。弊社のSBT申請支援サービスでは、申請代行に加え、SBT事務局からお客様宛に届いた英文メールをご転送いただければ、内容確認から事務局への返信案作成まで一貫してサポートしています。
昨年末時点で、日本における中小企業のSBT認証取得数は1,000件を突破し、国内での注目度がますます高まっています。認証取得のために提出する削減目標は、従来と比較してより詳細な情報開示が求められ、申請内容の整合性など、審査基準が一層厳格化しています。今後もガイドラインの改定が行われる可能性は十分にありますので、SBT認証取得をご検討中の方は早めに申請を行うことをお勧めします。
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