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コラム

2025.05.09

コーポレートPPAとは?

この度、新しくインターン生として加わることになりました。今回、初めてコラムを担当させていただきます。まだまだ未熟ではありますが、これから少しずつ業務を覚えていきたいと思います。

さて、何度かコラムでもご紹介してきたように、脱炭素に向けた取り組みとして再生可能エネルギーを活用する企業が増加しています。再生可能エネルギーの活用方法は様々ですが安定して調達できる手段のうちのひとつに「コーポレートPPA」があります。
今回は、コーポレートPPAとは何なのか、その仕組みやどのような企業にとってメリットがあるのかについて解説します。

 

コーポレートPPAとは

コーポレートPPA(Corporate Power Purchase Agreement)とは、企業と発電事業者の間で結ばれる再生可能エネルギー電力の購入契約のことです。契約期間は約5~20年間となっており、企業がCO2フリーな電力(発電時の二酸化炭素排出量が少ない、または実質ゼロの電力)を長期にわたって購入するというものになります。

 

コーポレートPPAの仕組み・特徴

コーポレートPPAには、いくつかの形態がありますが、大きく分けると「オンサイトPPA」と「オフサイトPPA」の2つに分類されます。
まず、「オンサイトPPA」は、企業の所有地や敷地内などに再生可能エネルギー設備(太陽光発電パネルなど)を設置し、その場で発電した電力を自社の施設で直接使用する仕組みです。
一方、「オフサイトPPA」は、離れた場所にある再生可能エネルギー設備から送配電網を経由して、電力を調達する方式です。この形態では、自社の敷地内に発電設備を設置するための十分なスペースがない場合でも再生可能エネルギー電力を調達することができます。
このように、コーポレートPPAは企業の立地条件やエネルギー戦略に応じて、いくつかの選択肢を提供しており、柔軟な導入が可能な制度となっています。


出典:自然エネルギー財団http://renewableei.org/pdfdownload/activities/REI_CorpPPA2023.pdf

 

どのような企業がコーポレートPPAに適しているか

企業における再エネ電力の導入手段として「オンサイトPPA」、「オフサイトPPA」に加えて「自社による設置」が挙げられます。ここでは事業用の太陽光発電設備(10kW~50kW)の設置を例に、それぞれの特徴や導入コスト、設置場所の違いを比較し、どのような企業にコーポレートPPAが適しているのかについて整理します。

【事業用太陽光発電導入・通常電力における比較】

出典:自然エネルギー財団https://www.renewable-ei.org/pdfdownload/activities/REI_JPCorporatePPA_2024.pdf

上の表は2023年時点の事業用太陽光発電導入における各手段の需要家コスト、初期費用、設置場所を通常電力のコストとともに比較したものです。需要家コストは、オフサイトPPAの場合通常電力料金のマイナス5円、オンサイトPPAの場合さらにマイナス5円という金額が目安となっています。
自社で太陽光パネルを設置する場合、電力コストは約11円/kWhと比較的低く抑えられますが、初期費用として500万円~3000万円程度の投資が必要です。
一方、オンサイトPPAは、電力コストは15~18円/kWhと自社による設置と比べると高くなっていますが、自社敷地に設備を設置しながらも初期費用0円で導入できる点が特徴です。 オンサイトPPAは、資本投資を抑えつつ再エネ導入を進めたい中小企業や敷地内に発電設備が設置可能な広いスペースを持つ企業などに適しています。
オフサイトPPAは、発電設備が自社敷地外にあるため土地の制約を受けず、再エネ電力を大規模に調達できます。ただし、オンサイトPPAとは異なり送配電網を通して受電するため、電力単価は20~23円/kWhと高くなっています。そのため、複数拠点で安定した再エネ調達を希望する大企業や、RE100など国際的な環境目標にコミットする企業に向いています。

 

まとめ

コーポレートPPAは、企業にとって単なる再エネ電力調達の手段にとどまらず、企業の環境戦略やブランドイメージの向上に直結する重要なツールとなっています。再生可能エネルギーの導入を通じて、脱炭素社会の実現に貢献することは、今後ますます企業の社会的責任として求められるでしょう。今後もコーポレートPPAの活用は、安定した再生可能エネルギー電力の調達や企業の競争力を左右する要素として注目されると考えられます。

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