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コラム

2025.01.31

エシカル消費について解説します!

1. はじめに

近年、環境問題や社会的格差の拡大、労働環境の改善など、さまざまな社会的課題が注目されています。これらの問題に対して、環境や社会の持続可能性に配慮した商品やサービスを購入する「エシカル消費」が、国や自治体、そして消費者から関心を集めています。海外で生まれた考え方ですが、持続可能性に関する国際ルールが活発になる中で、エシカル消費もまた、脱炭素化経営を目指す企業にとって、不可欠な取り組みになると考えられます。
今回のコラムでは、エシカル消費について解説していきます。

 

2.エシカル消費とは

エシカル消費とは、英語の「ethical(エシカル)」に由来し、「倫理的消費」を意味します。倫理的消費とは、地域活性化や雇用創出を含む、人・社会・地域・環境に配慮した消費行動を指します。例えば、フェアトレード認証(開発途上国の原料や製品が公平な条件で取引されていることなどを認証する制度)を受けた製品を購入して途上国を支援することや、リサイクル製品や資源保護認証をもつ製品を選ぶことで環境保全に貢献することなどが挙げられます。
2015年9月に国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)の12番目、「つくる責任、つかう責任」には、貧困や飢餓、エネルギー、気候変動、平和的社会と並んで、「持続可能な生産・消費形態の確保」が掲げられています。エシカル消費はこの目標の達成に向けた効果的な取り組みとされています。

3.エシカル消費の例

エシカル消費の具体的な例として、新車の購入をあげましょう。みなさんならどちらの車を購入しますか。

●HONDAのFIT LUXE (FF)

①ガソリン:車両価格:2,305,600円(税込) 燃費:16.0km/L 排気量1,496cc

②ハイブリッド:車両価格:2,643,300円(税込) 燃費:27.6 km/L 排気量1,496cc

※参考:https://www.honda.co.jp/Fit/webcatalog/type/list/?from=car_header

恐らく、圧倒的に燃費の良い②ハイブリッドを選んだのではないでしょうか。しかし、ガソリン代で車両価格差を取り戻そうと思えば、約10年はかかってしまいます。それでもハイブリッドを選ぶ方が多くなっています。

 

また、日用品で見ても同じような現象が起こっています。次の2点ではどちらを購入したいでしょうか。

※参考:Amazon WEBサイト

これも詰め替えの方を選んだのではないでしょうか。1gあたりの金額を計算すると0.22円、詰め替えの方が高くなっています。それでもなんとなくお得感やごみとして捨てるときに処分し易いからなどの理由から選んでいるのではと考えますがいかがでしょうか。

 

4.エシカル消費の分析

新車の購入や洗剤の例でもわかるように価格が多少高くても、環境に優しいサステナブルな商品を選ぶエシカル消費の意識が消費者の間で拡大しています。

令和6年度の消費生活意識調査によると、エシカル消費につながる商品やサービスを「購入したいと思う」と回答した人は55.5%に上ります。またどの程度なら割高であっても購入したいかという質問では、いずれの製品においても、60%以上が「割高でも購入したいと思う」(「30%以上」と「10%以上~30%未満」 と「0%より高いが 10%未満」のいずれか)と答えています。この結果は、価格以上に環境や社会に配慮した製品が消費者から大きな支持を得ていることを示しています。

さらに、企業がエシカル消費や SDGs に取り組んでいることが分かる広告を見て、その企業が提供する商品・サービスを購入したいと思いますかという質問に対しては、53.7%が「購入したい」と答えました。企業がエシカル消費やSDGsに取り組むことは、消費者の購買意欲に直接的な影響を与えることがわかります。

3での例もこのような消費者動向を踏まえたメーカーの動きと考えられます。各メーカーは、社会的責任を果たしつつ信頼を獲得する手段が収益の維持拡大に繋がるとしてエシカル消費に対する取り組みを加速させていくことが予想されます。

(出典)消費者庁「令和6年度消費生活意識調査(第3回)」の結果について
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_research_cms201_241107_01.pdf

 

5.まとめ

エシカル消費は、消費者が身近なところから始められる社会や環境課題改善への取り組みであり、企業にとっても社会的な責任を果たし、取引先からの信頼を高めるなど、脱炭素化を目指した社会で生き残るには必要不可欠な取り組みです。まずは、小さなことからでもエシカル消費を意識し始めてみてはいかがでしょうか。それが将来的に、持続可能な成長を実現する第一歩となるでしょう。

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